鹿児島県医療法人協会会報 vol.54・55合併号
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 16(会長)16たものであった場合に、その事例が医療法第6条の10で定義される「医療事故」に該当するという小田原先生のお話は、正しいご認識だと思います。15(弁護士)ありがとうございました。それでは、次の話題に移ります。予期の有無と医療起因性の有無という2つの要件についてです。この点は、小田原先生、いかがでしょうか。図1医療法では、予期の有無と医療起因性の有無という要件を通じて、4つのバリエーションを想定し、医療事故の該当性という中で検討させようとしているのです。法令上は、①「予期の有無と医療起因性の有無という要件を通じて4つのバリエーションを想定」し、このうち「予期しなかった死亡」かつ「医療起因性のある死亡」であるものを対象としているが、どちらの観点から検討を開始するかについては規定していないため、「予期の有無」について先に検討しても問題ないこと、②一方の観点について該当した場合、もう一方の観点について検討することになるが、この際、先に検討した観点とは独立した検討を行う必要があること。(例えば、「医療起因性がある」と判断された案件については、「医療起因性がある」とされたこととは独立して、「予期の有無」について検討する必要があり、「予期の有無」を最初に判断した場合も同様である)という点は言えます。17(弁護士)松本室長、今の小田原先生のお話はいかがでしょうか。18(室長)医療事故の判断に際しては、予期の有無と医療起因性の有無という2つの観点があり、「予期しなかった死亡」かつ「医療起因性のある死亡」であるかについて検討を行うというお話は、厚労省が明示しています「医療事故の定義」のとおりです。もしも医療者の方々の中に誤解があるとしましたら、その誤解の解消が必要だと思います。19(弁護士)確かに「医療事故の定義」が、「予期しなかった死亡」かつ「医療起因性のある死亡」であると、これは現行法のものですが、これと異なり、もしも「医療事故の定義」が「予期しなかった死亡」または「医療起因性のある死亡」だとしましたら、「医療事故の範囲」が大いに広がりますね。小田原先生、いかがでしょうか。

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