鹿児島県医療法人協会会報 vol.54・55合併号
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1936(会長)勤務している医療従事者が個人攻撃されてしまっていて、大変に憂慮しています。37(弁護士)「医療事故調査制度」における「医療事故」の公表について、かつてその正に担当の厚生労働大臣政務官だった橋本岳衆議院議員が日本医療法人協会主催セミナーの場でコメントしておられますね。小田原先生、ご披露をお願いいたします。38(会長)橋本岳議員は、日本医療法人協会主催の講演において、「医療事故調査制度においては秘匿性を重視した仕組みを作ったので、医療事故調査制度における医療事故の発生や院内医療事故調査の結果報告の公表は、当時、想定していなかった」と述べておられます。当時、厚労省の「医療事故調査制度の施行に係る検討会」の構成員だった私も、橋本岳議員と同じ認識です。39(弁護士)松本室長のご認識はいかがでしょうか。40(室長)医療事故調査制度が秘匿性を重視した仕組みとなっていることは橋本岳議員と同じ認識です。現在の医療事故調査制度においては、医療機関が自主的に院内事故調査の結果を公表することについて、法令上の制限はないのですが、公表する義務は全くありません。公表を義務だと捉える方がいれば、それは誤解だと申し上げることができます。院内事故調査の報告書については、医療機関が医療事故調査・支援センターに報告する義務はありますが、医療事故調査・支援センターも、報告書を勝手に公表することはありません。41(弁護士)ご認識をご披露いただき、ありがとうございます。似たような公表・報道ケースでは、やはり近時、国立国際医療研究センター病院でも、医療事故の報道がなされました。一旦は「医療事故調査制度」の「医療事故」ではないという判断が病院管理者によってなされたにもかかわらず、外部の専門家からの意見によって、その判断が覆されて「医療事故」と変わり、センター報告がなされたらしいのです。遺族は、民事訴訟で病院と並んで医師個人も被告とし、医師個人への刑事告訴も行ったということです。最近は、これらのように激甚化した事例が目に付きます。いずれにおいても共通する原因は、「医療事故等の公表」にあると思われます。そして、医療事故等の激甚化は、医師個々人の心情を直撃してしまうので、対策を考えないといけないとも思っております。最後に、小田原先生、一言いかがでしょうか。42(会長)今後、鹿児島県医療法人協会としても、日本医療法人協会としても、これらの問題に適切に提言していきたいと思います。43(弁護士)松本室長、最後に一言いかがでしょうか。44(室長)本日は貴重な機会をいただき、まことにありがとうございました。今後も各方面の皆様方と意見を交換しながら、制度の適切な運用に努めてまいります。45(弁護士)皆さま、本日のお話によって、さらに一層、医療事故調査制度に対して正しい理解を得ていただければ、と希望しております。それでは、「創設時に立ち返って医療事故調査制度を考える」のセッションを終了させていただきます。小田原先生、松本室長、ありがとうございました。皆様、ご静聴、ありがとうございました。医療機関に院内医療事故調査報告書を公表する義務はない

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