12特別寄稿41.はじめに前号の鹿児島県医療法人協会報第54・55号合併号においては、「勤務環境改善は経営上の喫緊の課題」と題して、主に医療勤務環境改善マネジメントシステム等について、寄稿させていただいたところです。今号第56号においては、それを受けて、医療勤務環境改善に関する最近のトピック等の中から、いくつか抜粋してご紹介いたします。2.医療勤務環境改善等に関する令和6年度補正予算等人口減少や医療機関の経営状況の急変に対応する緊急的な支援パッケージとして、生産性向上・職場環境整備等事業(設備導入や生産性向上の取組を進める医療機関等⦅ベースアップ評価料算定機関⦆を支援し、生産性向上・賃上げを図るもの)が予定されています(交付額は、病院・有床診:4万円/病床数、診療所⦅医科・歯科⦆・訪問看護ステーション:18万円/施設)。生産性向上に資する取組のイメージとしては、以下の2種類の効率化が挙げられています。(1)ICT機器の導入による業務の効率化(❶職員間の情報伝達の効率化⦅チーム医療の推進⦆のための、タブレット端末、離床センサー、インカム、WEB会議設備等の導入、及び、❷清掃業務や院内監視業務等の効率化のための、床ふきロボット、監視カメラ等の導入)(2)タスクシフト/シェアによる業務の効率化(医師・看護師の業務効率化⦅診断書作成、病室内の環境整備や看護用品の整理等⦆のための、医師事務作業補助者・看護補助者の配置)。なお、新たに配置する際に必要な経費の他、既に雇用している職員の人件費に充てることも可能なのが同事業の特徴となっています。また、生産性向上・職場環境整備等事業の他には、患者減少等により経営状況の急変に直面している医療機関への支援として、医療需要の急激な変化を受けて病床数の適正化を進める医療機関を対象とした経費相当分の給付金の支給(交付額は、病院(一般・療養・精神)・有床診:4,104千円/床)や、現下の物価高騰を含む経済状況の変化により施設整備等が困難な病院等への支援も予定されています。これらの他、同パッケージにおいては、地域でこどもを安心して生み育てることのできる周産期医療体制及び地域の小児医療体制の確保(55億円)や、医師の働き方改革普及啓発事業(1.5億円)等が計上されています。3.医師及びその他の医療従事者の労働時間短縮に資する機器等の特別償却制度(所得税、法人税)なお、対象設備は、医療機関が、医療勤務環境改善支援センターの助言の下に作成した医師等勤務時間短縮計画に基づき取得した器具・備品(医療用機器を含む)、ソフトウェアのうち一定の規模(30万円以上)のもので、特別償却割合は取得価格の15%です。*令和7年2月1日時点医師・医療従事者の労働時間短縮に資する一定の設備について、所得税・法人税の特別償却を行うことが可能です。本制度を活用するためには、対象設備取得の前に医師等勤務時間短縮計画(短縮計画)を策定し、各都道府県の医療勤務環境改善課室長による確認を受ける必要があります。(公社)日本医業経営コンサルタント協会 鹿児島県支部 副支部長鹿児島県医療勤務環境改善支援センター スーパーバイザー国立人事 代表 新屋 尋崇医療勤務環境改善に関する取組について
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