鹿児島県医療法人協会会報 56号
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21カスハラ対応について/会計のお話 IFRS16号とIFRS18号について1. IFRS16号新リース会計基準の適用開始①2027/4/1より強制適用開始日本国内において、リース会計基準が国際会計基準と歩調を合わせ適用が強制されることになりました。欧米では2020年ごろから強制されていた制度を日本に合わせて調整し、各種業界との調整をして適用となるものです。特に小売業界の反発が強く1年遅れの適用となりました。適用に際して膨大な事務量が必要になるためで、特に全国(世界)展開している小売業は影響をもろに受けるためです。②リース資産から使用権資産へ変更リース資産については旧基準が、リース契約に光を当ててファイナンシャルリース契約(金銭借り入れと同じ性格のもの)について資産計上を強制していたものを、新基準においては使用する権利に光を当ててすべてのものに適用するとされました。③リースの範囲の拡大そのため、家賃とかクラウドサービスの利用料等まで含むことになり、今まで家賃や地代もしくはサービス使用料として経費処理したものが、いったん使用期間に応じて総額を資産計上して、それを減価償却するという処理に統一することになりました。その影響は、(1)総資産が増えるため総資産利益率が低下することになります。(2)減価償却費として費用化されるのでキャッシュフロー計算書では経費として認識されませんので営業キャッシュフローの増大としてあらわれることになります。④少額リースについて少額なものについては資産計上を省略するということで、国際基準はUS$5,000(1ドル150円で換算すると日本円で75万円)と日本基準は300万円のどちらか選択ということになりましたが、旧基準との整合性を考えると日本においては資産計上の基準としては300万円以上を多くの企業等が採用することとなると思われます。⑤使用期間1年未満は対象外使用期間が1年を超えるものが対象とされますので、対象の範囲については検討が必要です。⑥導入期首においては過年度の処理に注意が必要導入期首においては、完全遡及方式と期首における使用権資産の残高を計上して減価償却を始める折衷方式に大きく分かれるものと思われます。上場企業においては有価証券報告書で前期と当期の比較の形式で計算書類を表示し、注記でその内容を記載するため、そのような方式がとられるものです。会社法単体では、前期の計算書類との比較の形式で計算書類を表示しないため、注記でその内容を記載するにとどまるため折衷方式になるものと思われます。医療法人協会 監事 公認会計士 重久 善一IFRS16号とIFRS18号について会計のお話

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