7医療法人協会報 vol. 57号(図2)第8回の最初に有賀構成員が『医師法第21条再論考』で批判した国立病院スタンダードマニュアル指針と医師法21条の関係を質問した。厚労省のメンバーの後ろに座っていた東京保険医協会の小形歩事務局長は答弁する田原課長の手元に『再論考』が置かれているのが見えたという。答弁の要旨は以下の3つ。 ・厚生労働省が診療関連死について届け出るべきだということを言ったことはない。 ・医師法21条の解釈で診療関連死を明示的に届出せよと言ったことはない。 ・ 法医学会の異状死ガイドラインも参考にと書いたのは事実だが、最終的には検案した医師が、異状の有無を判断する。次に中澤構成員が「検案」について質問し、田原課長は答えた。 ・ あくまで、検案をして、死体の外表を見て、異状があるという場合に警察署に届け出る。診療関連死であるか否かにかかわらない。 ・検案ということ自体が外表を検査するということ。外表で判断できないということであれば届出の必要はない。 ・ 平成16年最高裁で「医師法21条にいう死体の検案とは、医師が死因等を判定するために死体の外表を検査すること」といっている。これで、米田-田邉-佐藤の普及活動が実り、厚労省が「外表異状説」を認めたことが公となり、医療系メディアは大事件として報道した。翌月、大磯先生に直接会った時、彼は遠くから走ってきて私に飛びつくように握手を求めた。井上先生からは、田邉-井上-佐藤の鼎談の席を設けるように要望された。行政で医師法21条の司法判断が確認されたのに加え、国会においても「外表異状説」が正しいことを確認させた。2014年5月、私は、2001年4月3日の厚生労働委員会で医政局長から「医師法21条の規定は医療事故そのものを想定した規定ではない」との言質を得ていた医師で、東京保険医協会の会員でもある小池晃議員と話し合う機会を得た。そこで、次の国会質問で「改めて、医師法21条についての厚労省の解釈」を確認するよう依頼した。これは、2014年6月10日 参議院厚生労働委員会で実現する10。田村憲久厚労大臣は、以下の2点を答弁した。 ・医師法第21条は、医療事故等々を想定しているわけではない。これは法律制定時より変わっていない。 ・ 都立広尾病院事件最高裁判決で医師法21条の検案とは医師が死因等を判定するために外表を検査することである。8.「医師法第21条再論考」を手元に田原克志医事課長が発言(2012.10.26)99.国会でも「外表異状説」を確認:死亡診断書記入マニュアル改訂(2014年)で最終決着医師法21条「外表異状説」普及活動と「医療の内と外の分離論」
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